1月号(vol.6)

皆様は冬になると皮膚が乾燥し痒くなった経験はありませんか?今月号では、乾燥肌=
ドライスキンについて解説しドライスキンを悪化させないポイントについて紹介致します。
ドライスキンとは、皮膚に潤いが無くなり乾燥した状態を指します。皮膚を乾燥から守
るための働きとしては図を参照して下さい。

名称未設定-3

①角層の皮脂②天然保湿因子③角質細胞間脂質といった各種の保湿因子の作用が重要です。
①皮脂は、角層表面に膜様に広がり水分の蒸発を抑えます。
②天然保湿因子は顆粒層にあるケライヒアリン顆粒に由来するフィラグリンの代謝産物で
主成分はアミノ酸です。(チョットカッコ付けて難しい事を書いてみました 笑)
③角質細胞間脂質とは皆様も一度は化粧品CM等で耳にしたことのあるセラミドです。
(いかにもセラミド入りの化粧水などと言われたら効果がありそうで女性は飛びついてし
まうかも知れませんね―・・)
そのセラミドは角層の細胞と細胞をくっつけているいわば接着剤の様なもので、角質細胞
及びそれより下層の皮膚の水分を外に逃がさない様にしている働きがあります。これら①
②③の保湿因子が何らかの原因で減少することでドライスキンになってしまうのです。
では、その「何らかの原因」とは何でしょう?

A:皮脂の分泌にはホルモンが関係し、そのホルモンの分泌量は性別や年令によって異な
るため、皮脂の分泌量も影響を受けます。例えば生後6 ヶ月までは生まれる前(胎児時代)
のママからのホルモンがまだ残っているため、皮脂が比較的良く出ます。しかし生後6 ヶ
月以降になると自分だけのホルモンで生きていかなければならないために、12~13 才頃ま
での思春期頃までは皮脂の分泌量が低下しドライスキンの傾向になります。しかしホルモ
ンの分泌量が増えてくる思春期以降になると再び皮脂の分泌が活発になります(その代わ
り、この頃になるとニキビになり易いのです)。
またセラミドや天然保湿因子は加齢と共に低下するいっぽういう事実があり、この事も小
児や高齢者がドライスキンになり易い原因の一つなのです。
B:アトピー性皮膚炎もドライスキンになり易い原因の疾患です。最近の研究では、アト
ピー性皮膚炎の多くは生まれつきセラミドやフィラグリンといった保湿因子を遺伝子レベ
ルで作り出すことができないため、ドライスキンになってしまうという事が分かってきて
います。
次はドライスキンを放置せず早期に治療すべき理由を申し上げます。
(前述①②③)の保湿因子の減少により→皮膚のバリア機能が低下し→外界からホコリ・
異物等のアレルゲン(アレルギーを起こす原因物質のこと)が容易に侵入しやすくなる→
よって初めの炎症が生じる。その結果→痒みを感じる神経(C線維という)が皮膚の浅い
所まで伸びてきて痒みを感じやすくさせる様になってしまいます。→さぁー、皆様痒くな
れば老若男女問わずしてどうしますか?→そうです、掻く!!のです。掻くと→さらに炎
症が強くなる→これが負のスパイラルの始まりです≪イッチ・スクラッチ・サイクル≫
これがドライスキンを放置した結果起こる湿疹皮膚炎群(乳児湿疹・アトピー性皮膚炎・
老人性乾皮症・皮脂欠乏性湿疹etc・・)

★非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)は、接触皮膚炎(カブレのこと)をよく引き起こす
ので正当な皮膚科医は、こと今回のテーマであるドライスキンを起こす疾患群には通常使
用致しません。学会レベルでもその様になっている事を強調しておきます。
最後に日常生活における注意点を述べさせて頂きます。
・熱いお湯での入浴は避けましょう。
・石鹸は基本的に使って頂いてOKです。但し日々使っていて問題がないものや弱酸性や
低刺激のものをお勧めします。(お困りの方はご相談ください)。
・体は手で洗う。手の届かない所は木綿のタオルで優しく洗う。ナイロンや垢コスリは絶
対に使わない。
・入浴後はタオルで優しく拭く。
・保湿剤等の外用剤は入浴後10 分以内に塗る。少々体が湿っている状態で外用しても構わ
ない。
・冬などの乾燥時期は保湿剤等は継続的に外用する。
さぁ、以上を守って、冬のカサカサ肌からスベスベ肌になりましょう!!
院長:刀川