細菌・ウイルスによる皮膚疾患
みずいぼ ~別名「百いぼ」~
「みずいぼ」とは、いぼの一種で、正式名を伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)といいます。主に子供にできますが、まれに大人にできることもあります。
「ポックスウイルス」というウイルスが原因です。プールやお風呂で、人から人へ、接触することによって感染します。
数カ月から数年で自然に治ることもありますが、別名「百いぼ」と言って、百個くらいに増えることもあります。周囲の人に伝染することを考えると、治療することをおすすめ致します。
塗り薬や飲み薬で有効な薬はなく、特殊なピンセットでつまんで取るのが一般的な治療になります。
プールなどの肌が触れ合う場では、タオルや水着、ビート板や浮き輪の共用を控えましょう。患者様の肌と触れ合わないように注意しましょう。また、学校を休む必要はありません。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」とは、俗に言う「いぼ」のことであり、ウイルスが皮膚に感染して生じます。
小さな傷などからウイルスが入り込むと考えられていて、主に足の裏や指先にできます。
「うおのめ」や「たこ」と勘違いして患者さん自身で削ってしまっていることがありますが、これでは周囲にも尋常性疣贅を作ってしまう原因となりかねません。
ウイルスは、皮膚の比較的深いところにある細胞に感染するので、表面を削っているだけでは取ることはできません。尋常性疣贅を削って取るためには、出血して痛いところまで深く削る必要がありあまり現実的ではありません。
通常は液体窒素を用いた冷凍凝固療法を行うのが一般的です。麻酔などの準備も必要なく、すぐに誰でも治療が受けられます。治療後1週間くらいで少しずつ剥がれて取れ始めます。ですから、週1回を目安に通院されることをおすすめしています。
その他当院ではヨクイニンという内服薬で体の抵抗力を高めていく方法やステリハイドという塗り薬でイボを腐蝕させる治療も併用する事があります。
手足口病
手足口病は、口の中や、手足などに水疱性の発疹が出るウイルスの感染によっておこる感染症です。こどもを中心に、主に夏季に流行します。感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染(弁の中に排泄されたウイルスが口に入って感染することです)が知られています。特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活している保育施設や幼稚園などでは、こども達同士の生活距離が近く、濃厚な接触が生じやすい環境であることや、衛生観念がまだ発達していないことから、施設の中で手足口病の患者が発生した場合には、集団感染が起こりやすいです。また、乳幼児では原因となるウイルスに感染した経験のない者の割合が高いですから、感染したこどもの多くが発病します。
感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くないことがほとんどであり、高熱が続く事は通常ありません。ほとんどの発病者は、数日間のうちに治る病気です。しかし、まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。(特にEV71に感染した場合には、他の円テロウイルスによる手足口病と比べて、中枢神経系に合併症を引き起こす割合が高いことから明らかとなってきています。)
また、手足口病の典型的な症状が見られずに重症になることもありますので、注意が必要です。手足口病にかかったこどもの経過を注意深く観察し、合併症に注意をする必要があります。
一般的な感染対策は、接触感染を予防する為に手洗いをしっかりすることと、排泄物を適切に処理することです。手洗いは流水と石けんで十分に行って下さい。また、タオルの共用はしてはいけません。手足口病は、治った後もしばらくは便の中にウイルスが排泄されますし、感染しても発病しないままウイルスを排泄している人もいると考えられることから、日頃からのしっかりとした手洗いが大切です。手足口病に特効薬はなく、特別な治療方法はありません。また、基本的には軽い症状の病気ですから、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。
しかし、まれに髄膜炎や脳炎など中枢神経系の合併症などが起こる場合がありますから、経過観察をしっかりと行い、高熱が出る、発熱が2日以上続く、嘔吐する、頭を痛がる、視線が合わない、呼びかけに応えない、呼吸が速くて息苦しそう、水分が取れずにおしっこがでない、ぐったりしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受信しましょう。
「とびひ」ってなあに?
「とびひ」は正しく伝染性膿痂疹といいます。黄色ぶとう球菌やレンサ球菌が原因でおこる皮膚の感染症の一つです。顔や手足に水ぶくれができ、それが簡単に破れてほかの場所に次々と「飛び火」して広がっていく事からこう呼ばれています。
「とびひ」は、主に高温多湿になる5~6月から夏にかけて、0~6歳の子供に多く見られます。「虫さされのあとがいつまでも痒く、ジュクジュクして広がってきた」という症状を見つけたら、「とびひ」を疑ってください。
「とびひ」には抗生物質が効果的ですので、「とびひ」かなと思ったら病院でみてもらいましょう。抗生物質の飲み薬を飲み、ジュクジュクした部分には、抗生物質の入った塗り薬をぬって、ガーゼで覆います。かくことによって他の場所にうつるので、かゆみ止めの薬を飲むこともあります。治ったかなと思っても再発することもあるので、完全に治るまで治療しましょう。
病変が広範囲の場合や、全身症状のある場合には出席停止を必要とすることもありますが、病変部をきちんと覆っておけば、学校を休む必要はありません。なるべく子供同士は触れ合わないように気をつけましょう。
プールは完全に治るまでは、できるだけ避けましょう。
清潔にすることが必要です。シャワー、入浴して、病変部を石けんで軽く洗ってあげて下さい。大人にうつることは、ほとんどありません。
- 「とびひ」を引っかくと他の場所に「飛び火」しますので、引っかからないように気をつけましょう。また、鼻の中には「飛び火」の原因となる菌がたくさんいますから、鼻をいじるのはやめましょう。
- 幹部はゴシゴシこすらずに、石けんを良く泡立てて手でやさしく洗い、シャワーで充分流しましょう。
- 洗った後は乾いたタオルで軽く押さえるようにして水分を吸い取り、薬を塗ってガーゼなどで患部を広く覆います。衣類は綿などの吸湿性の良いものを選び、膿などで汚れたらすぐに着替えさせましょう。タオルは、なるべく他の家族と共用しないようにしましょう。(洗濯は一緒にしてもかまいません)
- 夏は、毎日お風呂に入るかシャワーを浴び、石けんを使ってよく洗い清潔にしましょう。
- 湿疹・アトピー性皮膚炎の治療につとめましょう
- 虫さされ、すり傷などは早めにきちんと治療しましょう。
- 爪は短く切り、外出後や遊んだ後は手をよく洗いましょう。
- 鼻をいじらないようにしましょう。